





宝沢まわり
七月ニ十四日 龍山
小姥神の先で長峰林道を北に入る。北寄りの木漏れ日。刈り払いから日が経たぬ様子で、夜明けの露に裾を濡らす事も無く、却ってケモノの跡も無い。
陽の射さぬ曲がり角、見目涼しげに青白い紫陽花。猛暑の波もこの辺りまでは襲って来ない。宝沢との境を越えて行き合うのは、ぶなの葉を揺らす風ばかり。
杉の木が混じり始めるつづら折り、半端に残した枝打ちに荷を引ったくられそうになるやら、首筋を狙われるやら。蝉の大合唱に気付く
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長峰林道宝沢まわり
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落葉松を見上げ、越戸への道に合す。ほぼ小姥神の標高から登り返すのだとか講釈無用。一斗缶ひと叩き、その一瞬だけ蝉も沢も鳴りを潜める。
ぶな林の緑は朗らかに何処までも続くのに、ホトトギスの声が幾度も響く。啼きつる方を眺めても、ただ大釈の尾根の空が近づく。
越戸の手前の急登で、早過ぎた朝食のカロリーが尽きた。しかも禅頂へ進む側は笹の葉で隠蔽されて、今更の藪漕ぎに数歩で滅入る。
忿懣こらえてヘラハギ峠で水を飲む
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2025-07-28
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TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
