

黒鴨口から頭殿山
十一月五日
次からは黒鴨の蔵高院の先から歩く、と七年前に決めた筈が、再びゼロハンカブで登山口まで突っ切ってしまった。
林道の具合は来る度に悪くなって見える。嘗ての集落や往来の跡なぞ見る影も無ければ、走行中は見えても見ている隙が無い。見るべき松の古木も見過ごした。
上りは茎ノ峰峠への分岐で、下りは日影を出る峠の山神塔で、荷締めを確かめた他は停まらず、鞍上ほぼ立ちっ放し。
足元から甲高い打撃音が聞こえる度にただ謝り続け
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黒鴨登山口---鳥取場---頭殿山---往路を復す
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明るい落葉松林が暖かい。鳥取場の標識が倒れていた。紅黄葉は遠目に褪せて、降り積む落葉も幾度かの霜で少し燻む。葉の陰には樹の根が潜み、踏む者の足を掬う。
鉱泉へ分れる道を見送り、尾根筋に枯葉を撫でる風も無く、置賜盆地は隅々まで濃密な霧に沈む。
西に冴々と展開する朝日連峰、主峰の冠る雪はまだ薄い。鳥原小屋の上の微かな白みは古寺山か。タムシバの芽が澄ました風で年越し支度を終えていた。
事無く下れば深山の観音へ
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2025-11-10
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TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106
