
奥の院はトンボ沼まで
十月十日 羽州葉山
鳥の声ひとつ聞こえぬぶな林。腰に下げた小さな鈴の音が、隅々まで響く。
枝先の一葉の端から黄葉の始まり。いち早く紅く染め上がった虫狩の葉が、朝の陽に透ける。
お花畑より先は、草木取りどりの秋彩が穏やかに続く。小僧森大僧森にも遊ぶ鳥は無し。眺める烏帽子岩を薄雲が掠める。
山頂広場は後回しにして奥の院。社殿の前に吉相の小動物が現れた。忽ち草叢に消えたが、此は大権現の顕現なりとて賽銭を若干増額したとかしないとか
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葉山市民荘---畑コース---葉山奥の院---トンボ沼---一等三角点---往路を復す
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トンボ沼から青天を振り返れば、奥の院に白雲湧いて綾錦燦々。
朝晩少々肌寒くなっただけで困惑を装う下界を余所に、深山は実直に節季を刻む。いよよ冷凍庫に買い貯めた氷菓の処置が迫られようか。
滅多に点けぬ瓦斯器具で茶を一服。鳥海山は雲に深く隠れて裾の端しか見せない。先月登拝が間に合うた月山は、帰途の一等三角点で寸刻ばかり全容が現れた。
小僧森で前触れも無しに一人と擦れ違い、他には熊にも天狗にも何にも行き合はず
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2025-10-12
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TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
@rondino2106
