









また八月の駒草に
八月一日 熊野岳
朝駆けのつもりが少々出遅れた。開いたばかりの共同浴場からは朝湯客の笑い声。
痛飲明けに禊のシャワーとは趣きが違うよなと顧みつつ、中森の登山口で歩き鈴を着ける。
熊野岳お決まりの祓川の古道。温泉の香は速やかに遠ざかり、微かに擦れる笹の音に取り囲まれる。
安政の水神の辺りは三度川の源であると云う。鳥兜山を見上げて間もなく祓川。
通路の水はいつもの調子で靴底を湿らせる程度だが、上流から寄せる繁茂が堰堤を越す勢い
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祓川---熊野岳---鳥兜駅
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三宝荒神の碑は倒れたまま、と道中の諸尊を云い始めたら切りが無い。
大黒天や御田神ですら藪の中、どの辺りだったか分からぬ碑もある、道はきちんと刈り払ってあるのに。
いつの間にか西から雲海が迫り、東からは風と共に雲が湧く。蔵王主峰の峨々たる容貌が望まれたのは一時の事だった。
山頂のお客は皆、強風に抗いながらうろつく。既にやつれた駒草に足を止める人は無い。
外国語の乱れ飛ぶ地蔵尊。懺悔坂のアザミが悔しいほど痛い
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2025-08-03
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TOM
ぽんとけりゃにゃんとなくよーいよい
